伸縮性がある素材は水着、ストッキング、インナー、運動服等特別に伸縮する需要がある製品で使われましたが、近年スーツ、Tシャツ等にも使用されて、体の動き、皮膚の伸びに合わせて伸縮し、着心地がよくなっております。スリングシートも実はある程度の伸縮性が求められております。
伸縮性がある素材、所謂ストレッチ素材は一般的にストレッチ率によっては分類されています。伸縮率はどの程度生地が伸び縮みするかを数値化したもので、一般的に0〜100%で表されます。
- 伸縮率が10-20%:軽い運動に対して圧迫感が少なく、動きやすいです。
- 伸縮率が20-40%:スポーツ等の運動に対して、体の動いに生地が合わせて伸縮します。抵抗を感じなく着用できます。
- 伸縮率が40%以上: 激しいスポーツ等の運動に対して、体に密着して動きを合わせることができます。
ストレッチ素材の歴史は古く,1930年代に押し出し、凝固法により比較的細いゴム糸が得られるようになった時まで遡ることができます。1955年頃から仮撚り加工糸 の生産が本格化し、繊維に与えられたスパイラル状捲縮の伸長回復力を利用したストレッチ素材が製品化されました。本格的なストレッチ素材の開発は1958年に米国Du Pont社からポリウレタン弾性糸“Lycra”が発売されて以降です。その他に、後加工の工夫を中心にウールや綿を素材とするストレ ッチ性織物の製造も息長く検討されてきました。
参考・引用資料:
- 中沢荒谷. 繊機誌, 1981.
- 山崎義一. ストレッチ素材について. 繊維製品消費科学, 2004, p640-644.
- 本宮達也 [ほか]. 繊維の百科事典, 2002.