介護用の入浴用スリングシートを使ったリフト移乗は、入浴が困難な方を安全かつ快適に入浴介助ができる便利なツールです。しかし、正しい使用方法を守らないと、思わぬ事故やトラブルが起きる可能性があります。以下に、使用時の注意点をまとめました。
1. 使用前の点検・確認
- スリングシートの点検
入浴用スリングシートを入浴介助で使用する場合は、生地に水やシャンプー等の成分が含まれるため傷みやすくなります。ほつれ、裂け、破損などがないかを使用前に必ず確認してください。- 危険性:劣化したシートが破損し、転落事故につながる可能性があります。
- 対策:使用前に点検を行い、不具合がある場合は交換してください。
- 耐荷重の確認
スリングシートの耐荷重を確認し、利用者の体重が制限を超えていないことを確認します。
2. 水温と安全性の確認
- 水温の適切な調整
入浴時、湯温が高すぎたり低すぎたりすると、利用者にとって危険です。- 危険性:低温やけど、体温低下のリスク。
- 対策:適温に調整し、常に水温を確認します。
- 利用者の体温チェック
入浴前に利用者の体調や体温を確認し、健康状態に問題がないことを確認します。
3. スリングシートの適切な取り付け
- 危険性:リフトのハンガーフックにスリングストラップを不完全に取り付けると、使用中、外れたり落下したりする可能性があります。また装着の仕方を誤ると利用者の身体を圧迫し、また転落等の危険があり、怪我や事故に繋がる可能性があります。
- 対策:メーカーの取扱説明書をよく読み、ハンガーフックの正しい箇所にストラップが正確に取り付けられていることを確認します。吊り上がる前に確認作業を怠らないようにしましょう。また装着方法など取扱方法をしっかり確認しながらご使用してください。
4. 入浴中の注意点
- 付き添いの徹底
入浴中は、利用者から目を離さないようにします。- 危険性:シャワーが顔にかかったり、温度等で意識を失ったり、滑ったりする場合、重大な事故につながります。
- 対策:常に介助者がそばでサポートを行い、緊急時にすぐ対応できるようにします。
- 浴槽内での安定した姿勢の確保
●危険性:お湯の入った浴槽内では浮力により利用者の姿勢が不安定になります。顔まで浸かってしまうと溺れてしまう可能性も考えらえます。 - 対策:利用者の臀部が浴槽内の底に着いてもストラップのテンションを完全に取らないようにして(ストラップはハンガーフックから外さない)スリングシートで身体の安定をサポートすることも一つの方法です。また利用者が動いてバランスを崩さないように、常に安定した姿勢を保つよう注意します。
5. 使用後のお手入れ
スリングシートの洗浄と乾燥
入浴後はスリングシートを洗浄し、完全に乾かします。
- 危険性:湿ったままのシートはカビや劣化の原因になります。また、漂白剤や強アルカリ性洗剤を使用すると著しく生地を傷め使用できなくなります。直接日光に当てて乾かすと生地を傷めます。また乾燥機等で乾かすと著しく生地を傷めます。
- 対策:使用後は衛生状態を保つため、定期的に清掃してください。洗剤は生地を傷めない中性洗剤を使い、洗剤が残らないように十分にすすぎます。また乾燥させるときは風通しの良い場所で日陰に干して乾かすようにしてください。使用する洗剤は生地を傷めないものをお使いください。
保管場所の確認
シートを直射日光や高温多湿の場所に保管しないようにします。
まとめ
介護用入浴スリングシートは、利用者と介助者双方の負担を軽減する優れたツールですが、適切な使用と管理が重要です。利用者の安全と快適さを第一に考え、事前の準備、正しい使用方法、使用後のお手入れなどを徹底してください。
より詳しい情報については、専門家のアドバイスや製品の取扱説明書を参照してください。