現在、日本で流通しているスリングシートの多くは海外メーカーのものであり、国産のものは限られています。スリングシートを選ぶ際に普段着ている服と同じく、体に合うサイズを選ぶ必要があります。サイズが合わないと、姿勢が崩れたり、スリングシートから落ちたりするリスクが発生します。
遺伝、食生活、運動等の影響で、欧米人と日本人の体格、骨格は違っており、一般の日本人は欧米の輸入品をそのまま使用するとサイズが合わない可能性があります。それでは、日本人と欧米人の体格はどのくらいの差があるのか見てみましょう。各寸法の計測方法(計測された日時、方法、対象など)は国によって違いますが、いくつかの比較データをピックアップして整理しました。
1.身長
世界各国の平均身長(男性)
世界各国の平均身長(女性)
上記のNCD-RisCの分布図をみれば一目瞭然で、ヨーロッパの平均身長は男女とも他の国より高いことがわかりました。
Society at a Glance 2009, Society at a Glance:Asia/Pacific 2011の統計によりますと、世界一身長が高い国はオランダで、男性平均身長は183.8cm、女性平均身長は170.7cmです。その後続いているのがデンマーク、スウェーデンと北欧の国々で、1~15位までは全部ヨーロッパの国で占められています。NCD-RisCとほぼ同じ結果です。
Nutritional and Socio-Economic Predictors of Adult Height in 152 World Populationsの統計によりますと、世界152カ国・地域の男性の平均身長は172.9cmです。大陸別の平均値はヨーロッパ大陸178.1cm、北アフリカ・アジア・オセアニア170.0cm、アメリカ171.9cmです。男性の平均身長が最も高い国はオランダで183.8cm、最も低い国は東ティモールで160.0cmです。
世界149カ国・地域の女性の平均身長は160.4cmです。大陸別の平均値はヨーロッパ大陸165.0cm、北アフリカ・アジア・オセアニアは158.0cm、アメリカ159.6cmです。女性の平均身長が最も高い国はオランダで170.5cm、最も低い国はグアテマラで148.7cmです。
日本人の平均身長については、厚生労働省が発表している「令和元年国民健康・栄養調査報告」によりますと、18歳以上50歳以下の日本男性の平均身長は171.19cmで、18歳以上50歳以下の女性の平均身長は157.45cmでした。日本人男性とオランダ人女性の平均身長がほぼ同じです。
2. 体重
身長だけではなく、体重の違いも見られます。下記の図のように、日本では、肥満の方は全人口の3%しかいない一方、アメリカだと3人に1人は肥満となっており、ヨーロッパの国々もほぼ10%を超えています。
BMC Public Healthの2012年のレポートによりますと、世界平均成人体重は136.7lb(62kg)です。地域別でみると、北アメリカは177.9lb(80.69kg)、オセアニアは163.4lb(74.12kg)、ヨーロッパは156.1lb(70.8kg)、ラテインアメリカは149.7lb(67.9kg)、アフリカは133.8lb(60.96kg)、アジアは127.2lb(57.6kg)との結果です。
厚生労働省が発表している「令和元年国民健康・栄養調査報告」によりますと、18歳以上50歳以下の日本男性の平均体重は66.09kgでした。18歳以上50歳以下の女性の平均体重は51.85kgでした。
従って、海外輸入品のスリングシートの最大荷重は200㎏のものが多く見られます。最大荷重の数値が大きくなるほど、より分厚い生地を使用する場合が多いです。
参考・引用資料:
- 「令和元年国民健康・栄養調査報告」厚生労働省, 2020.12
- 「人間特性基盤整備事業成果報告書」社団法人人間生活工学研究センター, 2007.3
- 「Nutritional and Socio-Economic Predictors of Adult Height in 152 World Populations」,Econ Hum Biol,37,100848 ,2020.2
- 「Evolution of height over time」,NCD Risk Factor Collaboration (NCD-RisC)